施策の効果検証支援

日本の地域政策の問題の1つは、「何もしないよりまし」という形で多くの施策が実施されていることです。限られた資源を有効に活用するためには、施策効果を踏まえた「選択と集中」が必要であり、効果検証の結果を政策の改善に活かすことが不可欠です。しかしながら、自治体関係者からは「効果検証が重要であることは理解するが、現実に検証を行うのはさまざまな理由から困難である」という声が聞こえてきます。

自治体関係者の「声」

多種多様な事業の効果検証をどうすれば良いのか分からない

日常生活に追われ、効果検証まで手が回らない

検証結果を政策形成に活かすのが難しい

効果検証の2つの方法

当社は施策効果検証に、2つの方法を準備しています。ご要望に応じて、適切な方法を選び、施策効果の評価とエビデンスに基づいた提言をいたします。

効果検証の2つの方法

エビデンスレビューによるEBPM支援

どのような支援か

テーマに関する国内外の調査研究成果から政策決定に利用できるエビデンスを抽出し提言します。

どのようなケースに適しているか

事前評価に適している
目標は定まっているが、多くの施策が候補に挙がっているため、どの施策が有効なのかを知りたい場合に適しています。

何がわかるか

研究を幅広に集めることで、さまざまな施策候補、施策が実施される多様な環境と施策効果を比較検討できます。
分析スキルを持ったスタッフが分析手法の優劣もしっかり判断した上で研究の選別を行います。

実証プロジェクトによるEBPM支援

どのような支援か

スタッフが持つ豊富な分析手法を活用して実際に施策の効果を検証し、エビデンスに基づいた提言をいたします。

どのようなケースに適しているか

事後評価に適している
具体的な施策が決まっている、あるいはすでに実施されており、施策の推進や見直しに使いたい場合に適しています。

何がわかるか

施策と知りたい効果ごとに、最も適した手法を用いて、施策が行われる地域の環境を踏まえたオーダーメイド型の施策効果の検証が可能です。
そのため、施策のプロセス評価にも役立ちます。

より効果的・効率的な政策

エビデンスレビューによるEBPMの支援

例えばイギリスではWWC(What Works Centre。英国政府所属)がエビデンスレビューを行い、政策形成に用いています。

エビデンスレビューの手順


リサーチ・
クエスチョン

テーマの設定(どのような政策と効果の検証を行うか)



既存研究(国内外)
の収集

テーマに関するキーワードから幅広く収集



レビューを行う
研究の選別

選別基準:原因と結果のロジックが適切か分析手法の質は十分か



レビューの実施

政策や分析手法のスキルを備えたスタッフによって検証の良し悪しなどをレビュー



エビデンスの伝達

レビューの結果を踏まえ、制作に利用可能なエビデンスの開設

実績例1:子どもの体力を強化するにはどのような政策が有効か?

運動、生活様式、食事、学校での行動等々、子どもの体力に影響すると考えられる要因は数多く存在します。そこで、可能なかぎり調査対象を広げ、各種要因の効果を検証しました。

子どもの体力に影響する要因の体系図(一部)

実績例2:最低賃金の引上げは雇用や企業の生産性にどのような効果を与えるのか?

国によって労働市場の状況、最低賃金制度、産業構造等、実証研究結果に影響を与える条件が異なっており、研究結果の国を越えた外的妥当性(一般化可能性)は疑わしくなります。したがって、本調査では、最低賃金と雇用、生産性の関係に関する研究から、日本の労働市場を対象とした国内外の研究を取り上げました。

実証プロジェクトによるEBPMの支援

効果検証には数多くの分析手法があり、検証したい施策や効果の内容に応じた適切な手法を採用する必要があります。当社には実証研究に関する多くの実績があり、自治体との協議を踏まえて手法を選択するとともに、施策への反映を支援します。

効果検証の流れ

知りたい効果内容(例)

文化施設、スポーツ施設、公園といった公共施設が利用者非利用者にどの程度の便益を与えるかを計測したい。

道路や交通、都市再開発のようなビッグプロジェクトが近隣地域に及ぼす効果(便益)を評価したい。

プロジェクトやイベントが地域の雇用や所得、税収にどのような効果を与えるかを検測したい。

都心機能の誘導といった土地利用規制などの措置が地域や都市の空間構造にどのように影響するかを知りたい。


効果検証方法(例)

  • 市民(企業)満足度調査
  • 回帰分析
  • 仮想評価法
  • ヘドニック・アプローチ
  • 産業連関分析
  • RESASやモバイル空間データによる分析
  • その他

施策への反映

結果の解説と伝達

施策形成への落とし込み


実績

実績例1:都心機能誘導地区における政策効果に関する調査

都心機能誘導地区において進められている政策の効果について、RESASおよびモバイル空間統計を用いて空間構造の変化と賑わいの創出という面から検証する方法を、現状分析を踏まえて提案しました。

実績例2:博物館の便益の大きさと広がりに関する調査

公共施設は利用者だけでなく、非利用者、地域社会にさまざまな利益を与えていますが、利益の計測が難しいため、赤字額で運営が判断されているのが実情です。EBPMにおいては公共施設の利益の大きさを科学的に評価し、エビデンスとして政策に活かすことが求められます。当社スタッフは博物館の利用者に聞き取り調査を行い、仮想評価法を用いて便益を評価し、便益・費用比率が1を上回ることを検証しました。
また、公共施設の利益は利用者以外にも及びます。ヘドニックアプローチ(利益は地価に反映されるとする考え方)を用いて、博物館が地域社会に与える利益を評価したところ、利益は行政区域を越えて拡散していることを明らかにしました。

実績例3:観光の経済波及効果に関する調査

ここでは観光をとりあげていますが、その他のイベントやプロジェクトが地域経済もたらす波及効果を検証します。大切なことは、波及効果算出の前提となる最終需要(消費等)がどれくらい増えるのかについて精度の高い予測を行うことです。この予測が外れると、波及効果の精度は低くなってしまいます。当社は、経済や財政予測の実績を踏まえて精度の高い予測と、波及効果の計算を行います。

その他の実績例

  • 空地(公園やオープンスペース)の活用方法とその効果に関する事例調査
  • 太陽光発電設備導入による発電量ポテンシャルに関する調査
調査・研究実績